最近コンビニでよく見かける「1個買うと1個無料」のキャンペーン。
お得に感じて、ついカゴに入れてしまうことはありませんか?
でも、後から考えると
「本当に必要だったかな?」
「結局、無料券を引き換え忘れてしまった…」
なんて経験をすることも。
この記事では、元々お店の販促登録を担当していた経験から、「1個買うと1個無料」キャンペーンの裏側にある仕組みと、私たちが本当に得をするための賢い付き合い方についてお話しします。
この記事を読めば、キャンペーンの本当の価値がわかり、目先の「お得感」に振り回されず、自分にとってベストな選択ができるようになりますよ。
お店は損しないの?「1個買うと1個無料」の裏側にある仕組み

「無料で商品を配って、お店は損しないの?」と不思議に思いますよね。
結論から言うと、これはお店とメーカーが協力して行う「販売促進(販促)」という仕組みで、双方にきちんとメリットがあるから成り立っています。

ちゃんと予算組んでやっていますよ
以前は、コンビニのキャンペーンといえば「700円お買い上げごとに、くじが1回引ける」というものが主流だったのを覚えている方も多いかもしれません。
あれは、お店全体の売上(客単価)を上げるための代表的な販促でした。
しかし、最近は「1個買うと1個無料」が主流になっています。
私が商品部で販促データの管理をしていた頃、ちょうどこの手法への移行が進んでいきました。
この変化の裏側には、より的を絞ったお店とメーカー、双方の狙いがあります。
このキャンペーンの主な狙いは、大きく3つです。
① 新しい商品を試してもらうきっかけ作り
もっとも大きな目的がこれです。
「いつものお茶」を買ってもらうと、「新発売のジュース」の無料引換券がもらえる、といった形ですね。
メーカーにとっては、広告費をかけて宣伝するよりも、まず一度試してもらう方が効果的な場合があります。
私たち消費者にとっても、知らない商品を試す良い機会になります。
② お店に来てもらう「目的」を作る
キャンペーンは来店動機につながります。
700円くじのように会計時の運試しではなく、「あの無料券をもらいに行こう」という明確な目的が生まれるため、より計画的な来店を促すことができます。
③ 「ついで買い」を自然に生み出す
無料引換券を使うために後日お店に行くと、それだけで帰るのは少し気まずくて、ついパンやお菓子を一緒に買ってしまう。
そんな経験はありませんか?
これもお店にとっては大切な「客単価アップ」の戦略なのです。
販促データをシステムに登録する際も、こうした目的を達成できるよう、対象商品の組み合わせや期間が細かく設定されていることがデータから読み取れました。
一見シンプルなキャンペーンですが、裏側では緻密なデータ分析と戦略が動いているのです。
もう惑わされない。キャンペーンで本当に得するための「3つの視点」

では、私たちはこの仕組みとどう付き合っていけばいいのでしょうか。
目先の「お得感」に惑わされず、本当に価値のある買い物をするために、私が大切にしている3つの視点をご紹介します。
① 「キャンペーンがなくても、買っていたか?」と考える
まず自分に問いかけてほしいのが、この質問です。
販促の目的は、買う予定のなかった商品に手を伸ばしてもらうこと。
もし「定価でも欲しいと思っていた商品」が対象なら、それは間違いなくあなたにとってお得な買い物です。
でも、もしそうでなければ、それは「お得」という言葉に動されて生まれた、本来は必要なかった支出かもしれません。
② 「引換券」の期限と条件を冷静に確認する
無料引換券には「有効期間」「対象店舗」「対象商品」といった細かい条件が必ず記載されています。
販促マスタを管理していた経験から言うと、こうした条件はシステムで厳密に管理されており、1日でも過ぎたり店舗が違ったりすると、絶対に交換できません。

引換券のバーコードに情報を入れてるから、条件が揃わないとクーポンバーコードが通らない。
店頭ではどうにもできないから、店員さんにゴネないできちんと条件を確認してくださいね。
「せっかくもらったのに使えなかった」では、お得感も半減してしまいますよね。
レシートはすぐにお財布の別の場所へ移すなど、忘れない工夫が大切です。
③ 「2つあっても、本当に使い切れるか?」を想像する
私が主に担当していたパンやお弁当、お惣菜といった日配(デイリー)商品は、特に注意が必要です。
これらの商品は、消費期限がとても短い。
たとえ無料でもらったとしても、数日のうちに食べきれず、結局捨ててしまったら、それは「お得」ではなく「無駄」になってしまいます。
自分の家の冷蔵庫の中身や、数日間の食事の予定を思い浮かべて、「本当に必要か」を判断する冷静さが、賢い選択につながります。

お菓子や飲料などの賞味の長いものが一般的ですが、たま~~~に短いものが対象になることがあります
『お得』の正体を知って、自分らしい選択を

ここまで、「1個買うと1個無料」キャンペーンの裏側と、賢い利用法についてお話ししてきました。
このキャンペーンは、お店やメーカーの明確な戦略に基づいた「販売促進」の一環です。
しかし、その仕組みを知ることは、決して悪いことではありません。
むしろ、仕組みを理解しているからこそ、私たちはそれを「自分にとって本当に価値があるか」という物差しで冷静に判断できるようになります。
キャンペーンに「踊らされる」のではなく、自分の価値観で「使いこなす」。
この視点が、忙しい毎日の中で少しでも納得のいく買い物をするための、小さなきっかけになれば嬉しいです。