ネット上の口コミやランキング、膨大な商品データ。
現代は、何を選べばいいのか迷ってしまう情報過多の時代です。
特に子育てや仕事で忙しい日々を送っていると、買い物での「失敗」は時間もお金も無駄にする、できるだけ避けたいことですよね。
私は以前、大手企業の商品部でお弁当やパンといった日配(デイリー)商品のデータ管理に携わっていました。
日々、膨大な販売データという「数字」と、ヒット商品を生み出そうとするMDたちの「熱意」の両方を、システムの裏側から見守る立場にありました。
そこで気づいたのは、「本当に長く愛される商品」は、データと直感のバランスが絶妙に取れているということです。
今回は、私がデータ管理の現場で見てきた「売れる仕組み」の裏側をお伝えします。
この記事を読めば、流行に流されず、自分にとって本当に価値のあるものを選ぶための「新しい視点」が見つかるはずです。
データは「過去」を語り、直感は「未来」を創る

商品部の管理部門での私の主な仕事は、新しい商品が発売される際、その情報を「商品マスタ」というシステムに登録することでした。
価格、原材料、消費期限、そしてインストアコード……。
登録されるデータは、どれも嘘をつかない客観的な事実です。
特に日配商品はライフサイクルが短く、毎日膨大なデータが蓄積されます。
「昨年のこの時期はこれが売れた」
「この価格帯ならこれくらいの数量が見込める」
といった過去のデータは、新商品を作る際の強力な土台になります。
しかし、データ管理の現場にいて感じたのは、「データだけ」を頼りに機械的に作られた商品は、どこか無難で、お客様の心に深く刺さりにくいという現実でした。
一方で、驚くようなヒットを飛ばすMDは、過去の数字を十分に理解した上で、最後はデータに現れない「空気感」を信じて勝負をかけていました。
「今は健康志向だけど、あえて背徳感のあるボリュームを求めている人がいるはずだ」といった、データの一歩先を行く直感。
それは、日々売場に立ち、お客様の細かな動きを観察し続けた経験から導き出される「根拠ある直感」だったのです。

商品そのものはもちろん、コンセプトや発売のタイミングなどに「センス」が光るものは市場に刺さる…
システムの裏側ににじみ出る、作り手の「覚悟」

商品の「本質」は、意外なところに現れます。
私がそれを強く感じたのは、MDから届く「販促登録(キャンペーン設定)」の依頼書でした。
日配商品は鮮度が命です。
そのため、いつ、どの商品を、いくらで販売するのかという戦略が非常に重要になります。
単に「売れそうだから安くする」という事務的な依頼もあれば、まれに、その裏側にある意図がびっしりと書き込まれた依頼書や稟議書が届くことがありました。
「なぜこの具材の組み合わせなのか」
「なぜこの価格設定でなければならないのか」
そこには、ターゲットとなるお客様がその商品を手に取る瞬間を、時間帯や価格から逆算した「論理的な裏付け」が詰まっていました。
管理部門の立場から見ていると、そうした「意志」のある商品は、マスタ登録の数値一つひとつに整合性があり、販促の組み方にも一切の迷いがないことが伝わってきたのです。
そして実際、そのような商品は発売後、お客様の「あ、これいいな」というアンテナに響き、長く愛される定番商品になっていくことが多かったのです。
作り手の直感とは、決してギャンブルではありません。
それは、膨大なデータと現場での違和感を突き詰めた先に見えてくる、お客様への「提案」なのだと、システムの裏側で数字を打ち込みながら感じるようになりました。
スペックの先に、「小さな工夫」を見つけてみる

私たちはつい、口コミサイトの「星の数」や「コスパ」という分かりやすいデータだけで商品を選びがちです。
でも、もし買い物で迷うことがあったら、その商品の「ここ、ちょっと気が利いてるな」というポイントを、一つだけ探してみてください。
「具材が偏らないように工夫されているな」
「この季節に食べたくなる絶妙な味付けだな」
そんな、スペック表やデータには表れない「小さな工夫」に気づくことが、実は作り手の意図に触れる一番の近道です。
流行や数字に惑わされる前に、自分の感覚にフィットするポイントを一つ見つける。
その視点を持つだけで、買い物はもっと自分らしい、納得感のあるものに変わります。
明日のお買い物では、あなたの「直感」が何に反応しているか、宝探しのような感覚で少しだけ観察してみてください。
その小さな変化が、日々を豊かにする「賢い選択」への第一歩になると私は信じています。



