忙しい日の強い味方といえば、コンビニ弁当やスーパーのお惣菜。
手軽で美味しいけれど、ふと裏のラベルを見ると、びっしりと並んだ文字に少しだけ罪悪感を覚えてしまう…。
特に、見慣れないカタカナが並ぶ「原材料名」は、何となく体に良くないものが入っているような気がして、積極的に見たいものではないかもしれませんね。
ですが、大切なのは「良い・悪い」とジャッジすることよりも、書かれていることの基本的な見方を知り、ご自身で判断するための “軸” を持つことだと、私は考えています。
かつて商品データを見てきた立場から、ラベルの情報を「味方」につけて、今の自分にぴったりのお弁当を納得して選ぶための、3つの実践的なチェックポイントをご紹介します。
添加物が気になるなら。知っておきたい「/」のルールと「一次情報」の大切さ

まず、多くの方が気にするであろう食品添加物。
これについては、たった一つのルールを知るだけで、表示がぐっと見やすくなります。
それは、原材料名に引かれた「/(スラッシュ)」です。
法律で、「/」の前にあるものが「食品」、後ろにあるものが「食品添加物」と、明確に分けて書くルールになっています。
まずはこの境界線を知るだけでも、情報の整理がしやすくなりますよね。
その上で、私が商品部の頃から大切にしているのは、誰かの意見に流されるのではなく、自分で「一次情報」を確認するという習慣です。
商品のデータ管理を行う際も、こうしたメーカーの公式発表は最も信頼できる情報源でした。
商品の裏側を知る上で、一次情報に触れる習慣はとても大切です。
実は、自社のウェブサイトで、食の安全や添加物に対する考え方、取り組みをきちんと公開していところもあります。
添加物関連でやり玉に挙げられがちなコンビニは、大手3社すべて公開していますね。
添加物について気になることがあれば、まずはご自身がよく利用するお店の公式情報に、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
憶測や噂ではなく、事実を知ることで、少し安心できるかもしれません。
「おかず」と「ご飯」、本当に多いのはどっち?

次に見てほしいのが、原材料の書かれている順番です。 これは、その商品に使われているものの「重量順」に記載するというルールがあります。
このルールが役立つのが、見た目では中身のバランスが分かりにくいお弁当を選ぶ時です。
例えば、容器の底が見えにくい唐揚げ弁当。
一見、唐揚げがたくさん入っているように見えても、実はご飯の量でかさ増しされている…なんてことも。
そんな時に、原材料名の順番をチェックします。
先頭が「ご飯」であればご飯が一番多く、「鶏唐揚げ」から始まっていれば、唐揚げが一番多い、ということが分かります。
「今日はおかずをしっかり食べたいな」という時は「鶏唐揚げ」が先頭に来ているもの、「ご飯をしっかり食べたい」気分の時は「ご飯」が先頭に来ているもの、というように。
その日の自分の体調や気分に合わせて、満足度の高い一品を選ぶための、確かなヒントになります。

ちなみに、ほとんどのお弁当は「ご飯」の方が多くなっています。
丼物だと、たまに具の方が多いこともありますが、かなり珍しいケースですね。
もう一つのヒントは「製造工場」の場所にあり

最後に、意外と見落としがちですが、ぜひチェックしてほしいのが「製造者」や「製造所」の欄です。
ここには、そのお弁当が作られた工場の名前や住所が書かれています。
もし、今いるお店の近くの工場で作られていたら。
それは、お店に届くまでの輸送時間が短いということを意味します。
もちろん、消費期限内であれば安全性に問題はありません。
ですが、工場で出来てから、より短い時間で店頭に並んでいる可能性が高い、と考えることができますよね。
商品の鮮度管理はとても重要で、物流の仕組みも緻密に計算されています。
同じ消費期限のお弁当が2種類並んでいたら、少しでもフレッシュに近い方を選びたい、と思う時のささやかなヒントになります。
ラベルは「答え」ではなく「ヒント」。自分だけの選択眼をみがこう

ここまで、3つのチェックポイントをご紹介しました。
- 添加物が気になったら、「/」のルールを知り、まずは公式サイト(一次情報)を見てみる
- 原材料名の「順番」を見て、おかずとご飯のバランスを確かめる
- 「製造工場」の場所を見て、作られてからの時間を想像してみる
弁当・惣菜のラベルは、商品をジャッジするための「答え」が書かれているわけではありません。
今日の自分にとって、何が一番しっくりくるか。
それを選ぶためのたくさんの「ヒント」が詰まっています。
完璧に理解しようとしなくても大丈夫です。
次回コンビニやスーパーに立ち寄った際に、1つでも2つでも、お弁当の裏側を「あ、そういえば」と眺めてみてください。
その小さな習慣が、情報に振り回されず、自分らしい選択眼をみがく、はじめの一歩になるはずです。
この記事が、あなたの賢い選択のきっかけになれば、とても嬉しく思います。



