仕事や子育てで忙しい毎日。
夕食の準備が間に合わない時や、もう一品何かほしい時、コンビニのお弁当やお惣菜はとても頼りになりますよね。
でも、せっかくなら少しでもお得に買いたいと思うのが本音ではないでしょうか?
「値引きシールが貼られている商品を見かけるけど、いつ行けば出会えるんだろう?」
「タイミングが合えばお得なのに、いつも定価で買ってしまう…」
そんな風に感じているなら、この記事がきっとお役に立てるはずです。
実は、値引きシールが貼られる時間には、ある程度の法則性があります。
それは、商品の「裏側」にある仕組みと深く関わっているのです。
私は以前、大手企業の商品部で、お弁当やパンといった日配商品のデータ管理を担当していました。
いつ、どの商品が、どれくらい作られ、お店に届けられるのか。
その一連の流れをシステム側から見てきた経験をもとに、今回はコンビニの値引きが行われる「仕組み」と「具体的な時間帯」について、お話しします。
この記事を読めば、あなたもきっと、お得な商品と出会える確率がぐっと上がるはずです。
そもそも、なぜコンビニは「値引き」をするの?

街のコンビニで値引きシールを見かけるようになったのは、ここ数年のことかもしれません。
その背景には、社会全体での「食品ロスを減らそう」という大きな流れがあります。
と同時に、これはお店の利益を守るための、とても現実的で合理的な判断でもあります。
消費期限が切れてしまい、廃棄(ロス)となった商品の損失は、その多くがお店の負担となります。

チェーンによっては本部が一部を負担する仕組みもありますよ
ですが、例えば30%引きでも売り切ることができれば、損失を最小限に抑えられます。
私が商品部のデータ管理を担当していた頃も、お弁当や惣菜といった日配(デイリー)商品の「廃棄率」は、常に注目される重要な指標でした。
特に、お店の利益に直結するため、本部以上にオーナーさんが厳しくチェックしていることも多い数字です。
この廃棄をいかに減らすか、という現場の視点が、値引きのタイミングを決める鍵になるのです。
こうした値引き(価格変更)は、多くの場合、メーカーが製造段階で印字する「ソースマーキング」ではなく、お店側がシールを貼る「インストアマーキング」によって行われます。
だからこそ、どのタイミングで、いくら値引きするかは、その日の状況を見た「お店の判断」に委ねられている部分が大きいのです。
【時間帯別】値引きシールが貼られやすいタイミング

では、具体的にお店はどのタイミングで「値引き」を判断するのでしょうか。
私が商品のデータ管理をしていた経験(いつ商品が作られ、いつ納品されるか)と、実際のお店の動き(いつ値引きするか)は、密接に関連しています。
値引きシールが貼られるのは、多くの場合、店員さんが商品の「鮮度確認(消費期限のチェック)」を行うタイミングです。
お店にもよりますが、この鮮度確認は1日に複数回、細かく時間(例えば、9時、11時、14時、15時、17時、19時など…)を決めて行われるのが一般的です。
そして、そのチェックの際に、消費期限が迫っている商品が見つかると、まずオーナー(または店長)が「値引きをするかどうか」を判断します。
「値引きをする」と決めた商品については、本部からの指示(例えば「消費期限の2時間前になったら貼る」といったルール)に従って、シールが貼られるのです。
値引き額はお店が任意で決めることが多いですが、商品によっては指定されている場合もあります。
この「鮮度確認」の時間は、新しい商品が届く「納品時間」(多くの店では朝・夕・夜の3回程度)と連動していることが多いのです。
(1)夕食のピークに向けた時間帯 (14時〜19時頃)

夕食のピーク(18時頃)に向けて新しい商品(夕便)が納品される前後に、既存の商品の鮮度確認が活発になります。
特にお弁当やお惣菜など、消費期限の表示が「●月●日●時」までと書かれている商品は、この時間帯が対象になりやすいです。
具体的には、午前9時、11時、14時、15時、17時、19時などといった鮮度確認のタイミングで値引きシールが貼られ始めます。

製造時間や納品便の回数によってばらつきはあります。
お店では1日9回とかチェックしているはず。
そして、19時前後の鮮度確認が、これら時間管理の商品にとっては実質最後の値引きタイミングとなることが多いようです。
ただ、お店が混雑していて店員さんが忙しい時は、その時間が少し遅れたり、夜便の納品商品を棚に並べる直前になったりすることもあるようです。
「今日の夕食にもう一品」と考えるなら、この午後の時間帯が狙い目かもしれません。
(2)深夜〜日付が変わる時間帯 (22時〜翌朝)

もう一つのタイミングは、賞味期限の表示が「●年●月●日」や「●年●月」となっている商品、主にお菓子や加工食品などです。
これらは消費期限(●時まで)が設定されているお弁当などとは異なり、比較的期限が長い商品ですが、それでも期限が近づいたものは、お店の判断で値引き対象となることがあります。
夜22時頃には新しい商品(夜便)が納品され、棚の入れ替え作業が行われます。
それとは別に、お菓子や加工食品といった期限の長い商品のチェックは、お客様が少なくなる深夜帯、例えば0時前後に行われることがあります。
この時、期限が迫った商品は一度売場から下げられ、値下げ登録をされた後、専用の値引きコーナーなどに並べられる、という作業が発生します。
この一連の作業は夜勤の時間帯(朝5時頃まで)に行われるため、深夜から早朝にかけてが、これらの商品の狙い目となります。
もちろん、これらはあくまで一般的な傾向です。
お店の立地(オフィス街か、住宅街か)や、その日の天候(雨の日は売れ行きが鈍るため値引きが早い、など)、店長さんの判断によって時間は必ず前後します。
賢い選択は、未来の買い物も豊かにする

コンビニの値引きシールは、ただのラッキーな偶然ではありません。
その裏側には、「食品ロスを減らしたい」という社会の願いと、お店の切実な努力という「仕組み」があります。
今回お伝えしたかったのは、単なる「お得な時間」だけではありません。
その仕組みを知ることで、私たちは「なぜこの時間に値引きされるのか」を予測し、より賢く買い物ができるようになります。
そして、値引きの背景を知ることで、一つひとつの商品を見る目が少しだけ変わる。
それが、広告やその場の雰囲気に流されない「自分らしい選択眼」を磨く第一ステップだと、私は信じています。
まずは、お近くのコンビニに立ち寄った際に、
「あ、これは消費期限(時間)の商品だから19時までかな?」
「これは賞味期限(日付)の商品だから深夜かも」
と、ほんの少しだけ商品の裏側を想像してみてください。
その小さな気づきが、これからの買い物を、もっと楽しく、もっと豊かにしてくれるはずです。



